全国的な傾向ですが、地方都市の多くが人口減に悩んでいます。中津川市も例外ではなく、ここ数年の平均ですが500人ずつ総人口が減少しています。が、その傾向を無視するかのようにここ数年人口が増加している地区があります。

それは坂本地区。字名でいうと茄子川(なすびがわ)、千旦林(せんたんばやし)というエリアです。全国的にはリニアの新駅が予定されている地区として知られています。しかしリニア云々はまだ先のことで、増えている要因はもっと別のところにありますね。

まず考えられる理由として地区内にある中津川中核工業団地の存在。平成4年をもって分譲は終了しましたが、現在3500名の雇用を生み出しており、単身者等が近隣の賃貸物件に居住するケースも多いです。

また、この地区の主要幹線道路である国道19号線が数年前に片側二車線化されたことも人口増の背景です。それ以前は恵那~中津川間で一度渋滞すると30分くらいかかっていましたが、今ではほとんど渋滞もなくなり所要時間も半分程度。中津川市の西端に位置する坂本地区も市内中心部への通勤でそれほど時間がかからなくなりました。もちろん隣接の恵那市内の職場に通うのもさらに便利になりました。

次に保育園・幼稚園の数。坂本地区には公立の保育園が1つ、私立の保育園が2つ、そして公立の幼稚園が1つと、働くお母さんの居住意欲を増進させる材料が揃っています。実は坂本地区は就学前(=小学校入学前)人口の増加が著しいのですが、それも納得です。

そして人口増は社会資本を呼び込みます。これが第3の理由。下水道の整備1つをとっても、人口の増えている地区、人口の減少している地区、どちらに優先的に税金を投下すべきかは自明の理でしょう。

最後に挙げるのは新しい賃貸物件が多いということ。既成の市街地では簡単に造れない賃貸物件も、坂本地区では比較的容易で、しかも家賃設定は他のエリアと遜色ないので、良い循環が生まれています。それを見越してか、ここ数年で商業系の施設が随分と増えて、さらに利便性がアップしています。最寄り駅まで徒歩30分以上の場所がなぜか発展するという典型的なパターンで、坂本地区は今後のリニア関連需要も含め、しばらくの間中津川市で最も熱いエリアとなりそうです。